2018 年 9 巻 2 号 p. 116-120
AN69ST膜ヘモフィルターを用いた持続的血液濾過透析(CHDF)におけるメシル酸ナファモスタット(NM)投与部位および投与量の検討を行った。NMをヘモフィルターの前から投与した症例をA群,NMをヘモフィルターの前後で投与した症例をAV群として比較した。両群に共通して脱血側に対して送血側のACT値が延長せず,A群では回路凝固を認めた8回中6回,AV群では9回中6回,静脈側チャンバーの凝固を認めた。AV群と比較してA群では静脈側チャンバーの回路凝固による回路圧変化がより大きく認められた。A群とAV群で回路凝固に差がなかった理由としてAN69ST膜ヘモフィルターはNMを吸着するが,膜に対して一定の抗凝固効果を発揮する可能性がある。また,NMの後投与の増量は回路凝固を減少しうる可能性があるが,コストベネフィットを考慮した,さらなる検討が必要と考えられた。