日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
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若年周期精神病の臨床像と神経生物学的病態
岡田 俊
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 21 巻 3 号 p. 199-203

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抄録

若年周期精神病は,初経前後の女児に多く認められ,周期的な気分変動,行動抑制,精神病性の体験,夢幻様体験などの多彩な精神症状を伴う病態である。その病態を,前思春期に発症した気分障害ととらえ,非定型精神病の一型と見なす見方がある一方で,生理的未発達の段階にある若年女性の症状精神病とも捉える考え方もあり,なお結論が得られていない。周期性の精神病性疾患の病態をとらえるためには,trait と state を反映する生物学的指標を確立する必要があり,意識障害に対応した脳波所見の重要性が示唆される。本稿では,若年周期精神病の臨床像と病態,治療について概説したうえで,本疾患の病態を反映する生物学的指標を確立することが,精神病性障害,とりわけ非定型精神病の周期性を理解するうえでモデルとなる可能性について述べた。

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© 2011 日本生物学的精神医学会
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