日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
うつ病とエピジェネティクス
大朏 孝治内田 周作芳原 輝之渡辺 義文
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 22 巻 2 号 p. 89-95

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抄録

うつ病の病因・病態にストレス脆弱性,神経可塑性異常などの関与が想定されている。それらには遺伝的要因,環境要因,エピジェネティックな要因が関与していると考えられている。近年,うつ病に関わるエピジェネティクスの異常への関心が高まっており,本稿では当教室で得られた動物,培養細胞,気分障害患者末梢白血球を用いた研究結果を中心として,うつ病とエピジェネティクスの関連について解説する。我々が独自に妥当性を確認したうつ病モデルマウス,BALB/cマウスの線状体では慢性ストレス負荷によりGDNFの低下,HDAC2の増加が誘発され,それらは不安・抑うつ行動と同様に抗うつ薬の投与で回復した。さらに,抗うつ薬はHDAC4の遊離によるヒストンのアセチル化レベルを増加させることで,GDNFの発現を増加させることが示唆された。気分障害患者末梢白血球ではGDNFおよびエピジェネティクス関連因子であるHDACなどの発現変化を認めた。以上のことからは,GDNFおよびエピジェネティクス関連因子群が,うつ病の病態生理あるいは抗うつ効果に関与している可能性が示唆された。

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© 2011 日本生物学的精神医学会
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