日本生物学的精神医学会誌
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反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の気分障害に対する治療応用
中村 元昭
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 22 巻 3 号 p. 181-189

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抄録

経頭蓋磁気刺激法(TMS)は,磁気をエネルギー媒体とした非侵襲的な中枢神経刺激法であり,電磁誘導によって脳内に渦電流を誘導する。渦電流によって主に介在ニューロンが刺激され間接的に錐体細胞が興奮する。単発TMSや 2連発TMSは運動誘発電位(MEP)を介して中枢運動伝導時間や運動野の興奮性・抑制性の調節機構を調べることができる。反復性TMS(rTMS)は神経可塑性を亢進し刺激終了後にも持続する長期効果を持つため,精神神経疾患の治療応用研究がなされている。うつ病に対するrTMSの治療的使用は1995年以降,盛んに研究され,2008 年には米国FDAの承認を受けた。rTMSの抗うつ効果は電気けいれん療法(ECT)よりも小さいが,抗うつ薬と同等の治療効果を持つことが明らかとなった。新しいrTMS として Theta Burst Stimulation(TBS)と Quadro-Pulse Stimulation(QPS)が注目されている。

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© 2011 日本生物学的精神医学会
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