日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
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脳核医学的手法を用いた電気けいれん療法の作用機序の検討
高野 晴成
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2011 年 22 巻 3 号 p. 177-180

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抄録
電気けいれん療法(ECT)の作用機序に関して,positron emission tomography(PET)等を用いた研究を概観した。ECTの全般性けいれん発作最中には脳幹や間脳,基底核,側頭葉内側部で特に有意な脳血流の増加がみられ,発作の全般化に関して中心脳の重要性が示唆された。また,発作後10 ~30分の脳血流は前部帯状回,内側前頭部で有意に低下し,視床で増加していた。発作後に前頭部で脳血流が低下するという所見は,Sackeim らのECTによる発作後の脳の抑制が作用機序と関連しているという仮説を支持すると考えられる。また,ECTの脳血流に対する慢性効果に関しては,結果は一致していないが,測定方法の違いや,最終治療からの時間経過も関与していると思われる。さらに最近,神経伝達機能への影響として,1コースの治療前後でのドーパミンD2受容体やセロトニン2A受容体の変化などが報告されている。
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© 2011 日本生物学的精神医学会
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