抄録
認知行動療法は非機能的な認知や感情の障害に働きかける精神療法である。認知行動療法はうつ病をはじめとして様々な精神疾患に対する有効性が確認されており,標準的な治療として普及しつつある。しかし,認知行動療法がどのような生物学的な作用機序を持つのかはほとんど明らかになっていない。近年の脳機能画像研究の発展は認知行動療法が脳活動に与える影響を検討することを可能にしており,うつ病を中心として報告が増えつつある。本稿では近年の認知行動療法の脳機能画像研究の動向を要約し,認知行動療法が脳機能に与える影響について論考する。