2014 年 25 巻 2 号 p. 95-98
本シンポジウムは精神医学における脳波研究をテーマに4人のシンポジストが発表した。最初の発表は精神病の早期段階におけるミスマッチ陰性電位についての研究であり,逸脱刺激の種類によりミスマッチ陰性電位のバイオマーカーとしての特徴が異なることが報告された。二番目の発表は統合失調症の一群である Deficit syndrome の脳波研究であり,Deficit syndrome は単に重症の統合失調症ではなく,一つの臨床単位である可能性が示唆された。三番目の発表は意思決定における脳波研究であり,注意欠陥多動性障害や物質使用障害における意思決定の障害が事象関連電位や神経オシレーションを用いて示された。最後の発表はアットリスク精神状態を対象とした脳波研究であり,アットリスク精神状態から統合失調症へ移行することを予測する際にミスマッチ陰性電位と認知機能が有用であることが報告された。