抄録
スペインの Ramón Cacabelos 博士により企画されたシンポジウム「中枢神経系疾患のファルマコゲノミクス」を担当した。このシンポジウムは,日本,中国,米国,スペインからの発表であり,中枢神経疾患の遺伝子研究の様々なアプローチについて検討された。ゲノミクス手法により集積されつつある膨大なデータをファルマコゲノミクスの観点から整理することにより,中枢神経系疾患に対する薬物療法が,副作用を避けてより有用なものとなり,個人個人の遺伝子データに基づいたパーソナライズされた薬剤療法の実用化に向けて研究が進められている。このような視点は,特に中枢神経薬剤について重要であり,患者個人のゲノムデータを知ったうえで,薬剤を選択し,薬剤の用量を決定するというファルマコゲノミクスに基づいた薬物療法が今後は推し進められていくだろう。