日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
精神科領域における Neural Oscillation 研究
鬼塚 俊明PJ Uhlhaas多田 真理子Spencer KM平野 羊嗣McCarley RW
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 25 巻 3 号 p. 145-148

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抄録

統合失調症では,脳波や脳磁図で記録されるベータおよびガンマ帯域活動の異常が報告されており,その異常が認知障害や精神病症状と関連していると考えられている。また,神経振動障害の基盤には,脳波のリズムを生み出す GABA 介在ニューロンと MNDA 受容体の機能異常があることが示唆されている。本シンポジウムで,McCarley らはマウスでのオプトジェネティック研究・統合失調症および統合失調型パーソナリティ障害の MRS 研究について述べた。また,Uhlhaas らは脳磁図での統合失調症およびケタミンによる精神病の高γ帯域神経振動の所見を提示し,多田らは統合失調症の早期段階における神経振動に関する研究を紹介した。最後に鬼塚らは統合失調症と双極性障害の聴覚定常反応に関する所見を発表した。神経振動活動は,モデル動物や健常者,疾患群でも記録可能で,電気生理的に定量できるため,基礎研究と臨床研究をつなぐトランスレーショナル・パラダイムとして有望視される。

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© 2014 日本生物学的精神医学会
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