日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
マイクログリア由来神経栄養因子と自閉スペクトラム症
牧之段 学岸本 年史
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 29 巻 3 号 p. 93-97

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抄録
自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)患者における血漿炎症性サイトカインの発現量増加や脳内マイクログリアの活性化といった免疫系異常の報告が相次いでいる。一方,brain-derived neurotrophic factor(BDNF)やneuregulin-1(NRG1)といった神経栄養因子は,ニューロンの生存やシナプス機能に影響を与えるため,統合失調症やASDの病態に関与していると考えられてきた。活性型マイクログリアではBDNFやNRG1の発現量が増加することから,マイクログリアが活性化されているASD患者脳ではマイクログリア由来のBDNFやNRG1が過剰となっている可能性があり,これらの異常な分子機能がASDの病態生理に関与しているかもしれない。
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© 2018 日本生物学的精神医学会
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