抄録
大脳基底核は意思決定や認知学習において重要な脳部位であり,精神疾患病態にも大きく関与している。日本生物学的精神医学会若手研究者教育プログラムでの交流から,統合失調症患者で左側優位な肥大がみられる淡蒼球の機能に興味を持った。腹側淡蒼球のエンケファリン陽性神経細胞を特異的に刺激すると,報酬学習には影響を与えず,抑制性忌避学習が障害された。
エンケファリン陽性神経細胞は腹側淡蒼球のGABA作動性神経細胞の約半数であり,今後,残りの神経細胞の役割解析と,統合失調症病態での腹側淡蒼球の神経回路機構の解析を必要とする。