日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
統合失調症における皮質下体積とその側性の変化
岡田 直大
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 1 号 p. 2-5

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抄録
皮質下構造は認知,情動,意欲,高次実行機能の重要な役割を持ち,脳側性はヒトの心理行動学的特徴と関連する。ENIGMAは15のコホートより,統合失調症(SZ)と健常者とで差がある皮質下領域体積を見いだし,効果量の順に並べた。私たちは日本人の大規模データを用いて結果を再現し,SZに特異的な淡蒼球体積の左側優位の非対称性を示した。しかし同様の所見が日本人以外にもみられるか,淡蒼球体積の非対称性が症状と関連するか,初回エピソードSZにもみられるかは,未だ不明である。私たちは今後ACMPを通じて参画施設より,慢性・初回エピソードSZ患者と健常者のT1強調画像,重症度等の臨床データの提供を受ける。画像データからFreeSurferで皮質下領域体積を算出し,メガ解析により全体の効果を測る。アジア地域の住民は比較的類似の文化的民族的背景を共有しており,アジア人を対象とする研究は有益である。本研究により,新たなSZの脳構造メカニズムの解明が期待される。
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© 2020 日本生物学的精神医学会
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