日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
機械学習を用いた自殺予防の可能性とその問題点
木下 翔太郎岸本 泰士郎
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 3 号 p. 141-146

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抄録

自殺者の90%以上は精神疾患を有しているとされており,精神科医にとって自殺の予防は最重要課題の一つである。しかし,精神神経科領域は,診断や重症度評価の客観的指標となるバイオマーカーに乏しく,複合的な要因によって引き起こされる自殺もまた正確な予測が困難とされてきた。近年,自殺予防において,機械学習(machine learning)を用いた研究が数多く行われるようになってきており,画像データや,自然言語処理(natural language processing)を用いた個人の日記やSNSへの投稿に関する研究など,従来にはない試みも出てきている。本稿では,機械学習を用いた自殺予防に関する新しい知見について紹介しつつ,社会への実装に際し検討すべき倫理的・法的・社会的な課題(ethical legal and social implications:ELSI)についても触れる。

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© 2020 日本生物学的精神医学会
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