日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
神経炎症仮説からみた自殺関連行動のバイオロジー
門司 晃
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 3 号 p. 147-150

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抄録

約20年前から激増し,10数年間にわたり年間3万人を超えていた本邦の自殺者数は,ここ数年間の減少の結果として,約20年前の水準である年間2万人程度に戻っている。これ以上の自殺者数の減少を実現させるためには,精神医学的対策がまさに現時点で求められている。神経炎症仮説は幅広い精神疾患に当てはまると考えられているが,最近の総説では,各々の精神疾患の中にこの神経炎症が重要な役割を果たす亜系ないしは臨床ステージが存在する可能性が指摘されている。具体的には重症例,治療抵抗例に並んで自殺関連行動例が挙げられており,それらに対しての抗炎症療法の有効性が示唆されている。自殺関連行動に関する新たな診断や治療法の開発にブレークスルーをもたらすことを期待しつつ,神経炎症仮説からみた自殺関連行動のバイオロジーについて概説した。

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© 2020 日本生物学的精神医学会
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