日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
概日リズムのクロノタイプと気分障害にかかわるストレスレジリエンス
早田 敦子内匠 透
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 32 巻 4 号 p. 174-178

詳細
抄録
概日リズムは,行動や生理機能のみならず,がんや肥満,さらには精神状態にも関与するといわれる基本的生命現象である。多様な疾患が概日リズムの異常と関連していることが知られており,概日リズムを介した調整機構を理解することは,治療戦略への発展に大いに期待できると考えられる。近年,クロノタイプ(日周指向性)とうつ病などの気分障害との関連が示唆されており,朝型タイプではうつ病リスクの低下などのストレス抵抗性を示す可能性が報告されている。そのため,時間生物学的なアプローチから気分障害の分子病態を解明しようとする試みに注目が集まっている。本稿では,概日リズムを切り口に気分障害やストレスに対する影響について概説するとともに,筆者らの睡眠相前進を示す時計遺伝子変異マウスによる慢性ストレスレジリエンスについて紹介したい。
著者関連情報
© 2021 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top