日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
うつ治療標的としての海馬神経の機能調節と治療抵抗性の要因探索
瀬木(西田) 恵里
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 32 巻 4 号 p. 170-173

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抄録
海馬はうつ病の治療標的として重要であり,外界からのさまざまな刺激に対して反応性が高い脳部位である。電気けいれん療法は,難治性うつ病患者に適応され,治療反応性が良いことが知られているがその作用機序は未だ不明な点が多い。筆者らは電気けいれん療法モデルである電気けいれん刺激を用いて,海馬での応答性について着目し,歯状回の成熟神経の“脱成熟”様の機能変化と神経新生の促進メカニズムを明らかにしてきた。またうつ治療抵抗性のモデルを用いて,海馬における治療抵抗性にかかわる因子について,神経成長シグナルやドーパミン系シグナルをその候補として見いだした。これら知見から,海馬歯状回神経の表現系変化に伴う刺激応答性の促進が,うつ病からの回復に重要であると考えられる。
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© 2021 日本生物学的精神医学会
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