日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
空間的遺伝子発現解析を用いた精神・神経疾患研究の展望
久保 健一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 32 巻 4 号 p. 196-199

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抄録

空間的遺伝子発現解析(spatial transcriptomics)は,今年,つまり,2021年に,Method of the Yearに選ばれた解析技術である。単一細胞解析では,一細胞ごとにRNAシークエンスを行うのに対して,空間的遺伝子発現解析では,場所(空間)の情報と結びつけながら,RNAシークエンスを行う。ヒトの脳は大きく発達するため,空間的にも複雑な形状をもっている。このため,精神・神経疾患の研究において死後脳の解析を行う際にも,空間的な位置情報を保ちながら,遺伝子発現解析を行うことが望ましい。現在のところ,その代表的な手法は,10x Genomics社のVisiumと,nanoString社のGeoMX Digital Spatial Profiler(DSP)である。この両者を中心に,空間的遺伝子発現解析について概観する。

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© 2021 日本生物学的精神医学会
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