抄録
社会実装研究とは「社会課題の解決をめざして,研究で得られた新たな知見や技術を,実社会のなかに活かしていくことで,社会に便益をもたらすことをめざす研究」とされる。統合失調症の薬物療法においては,医薬品を開発する研究に加えて,エビデンスに基づいて薬をうまく使う方法を社会実装することが求められる。当事者と医療者がエビデンスに基づいて治療方針を決定することを補助するための文書が診療ガイドラインであるが,診療ガイドラインは公表されたのちに普及される必要がある。EGUIDEプロジェクトは,統合失調症の薬物治療ガイドラインを,精神科医を対象とした講習会によって教育し,その効果を検証するプロジェクトである。本プロジェクトを通じて,エビデンスが社会実装されることが望まれる。