日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
bHLH型転写因子による神経分化プラットホームを用いた神経疾患解析へのアプローチ
石川 充
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 34 巻 2 号 p. 72-74

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抄録

ヒト人工多能性幹細胞(induced‐Pluripotent Stem:iPS)細胞を利用したin vitroでの細胞分化技術を用いた研究は,疾患患者特異的な細胞を観察・操作できる点から,中枢神経系研究においては有用性の高い手段といえる。しかし,in vitroでの神経疾患のモデル化には未だ課題が多い。その理由のひとつとして,ヒト多能性幹細胞からのサブタイプ特異的な神経細胞分化誘導の技術が未だ発展途上なためでもある。本研究ではNEUROG2やASCL1といったbasic‐Helix‐Loop‐Helix(bHLH)型転写因子に代表される分化マスター因子の遺伝子導入による神経細胞分化を行うことで,精神疾患の病態や創薬スクリーニングを加速する研究プラットホームを紹介し,その有用性と今後の課題について述べる。

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© 2023 日本生物学的精神医学会
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