抄録
本研究は,高齢者が主体的な選択に基づいて外出する場所を所有するならば,ストレスフル・ライフイベントを体験した場合でも,その程度に関わらず主観的ウェルビーイングが増進する直接効果があるという仮説をたて,その検証を目的とした。本調査は,山形県酒田市に住む一般高齢者 400 人を対象に無作為抽出法による郵送調査を実施し有効回答数は 222 人あった。二要因の分散分析を用いて分析した結果,1) すべてのストレスフル・ライフイベントと主体的外出場所との間で交互作用は認められず,2) 主体的外出場所と「主観的健康感の減退」,「生きがい感の減退」,「配偶者との死別」の 3 つのストレスフル・ライフイベントにおいて主効果が認められた。このことから,主体的外出場所があることは,ストレスフル・ライフイベントの体験・認知の程度に関わらず,主観的ウェルビーイングが増進する直接効果を持つことが示唆された。