抄録
本研究は,パーキンソン病(PD)患者のオンオフ現象の有無からみた PD 患者の転倒の特徴から転倒予防
の示唆を得ることを目的とした。
「一般社団法人・全国 PD 友の会」 の東京都 PD 友の会の協力を得て,2017 年 2 月に会員 822 名に対し,無
記名自記式質問紙を郵送した。年齢や性別などの基本属性の回答と転倒に関する調査項目に無記入項目がない
336 名(有効回答率 40.9%)を分析対象者とした。
オンオフ現象の有無により分類し, オンオフ現象がある回答者が136名 (40.5%), ない回答者が200名 (59.5
%)であり,オンオフ現象がある群とない群として分析した。平均年齢はある群が 71.9 ± 7.9 歳,ない群は
73.8 ± 7.4 歳であった。オフ時間の平均が 5.6 ± 4.3 時間であった。また,前月に転倒があった 140 名の受傷
部位,転倒時の場所と状況を比較し,ある群は立つ時と服の着脱時に転倒が多く,頭部や臀部を受傷した割合
が高かった。転倒予防自己効力感の得点はオンオフ現象の有無に関わらず全体的に低く,重症度が上がるとと
もに平均得点が下がった。
オンオフ現象がある場合は,運動症状を多く有し,薬物の調整が困難となることが考えられ,転倒予防の視
点から一つの指標として重要である。PD 患者の転倒予防は,①転倒予防自己効力感を支えること,②オンオ
フ現象のある場合のオン状態とオフ状態それぞれの転倒予防,③自立した活動の時期の転倒予防と介助を伴う
時期の転倒予防が必要と思われた。