児童青年精神医学とその近接領域
Online ISSN : 2424-1652
Print ISSN : 0289-0968
ISSN-L : 0289-0968
研究資料
皮膚・毛髪への“身体集中反復行動”
─抜毛症,皮膚むしり症,皮膚の掻破行動─
境 玲子, 飯田 美紀
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 57 巻 2 号 p. 298-309

詳細
抄録

皮膚は個人と社会との境界であり,皮膚と精神の状態は相互に影響することが知られる。DSM-5改訂では,抜毛や皮膚むしり・爪噛み行動など身体を対象とする反復行動を総称する“Body-focused repetitive behaviors (BFRB)”(身体集中反復行動)との用語が記載された。皮膚症状を伴うBFRBの多くは精神医学的問題を有するものの,精神科を受診する例は少ない上,精神症状の治療は容易ではない。精神症状と反復行動の持続から,創部の感染や瘢痕を生じる例もあり,皮膚科では治療的対応が問題とされてきた。

DSM-5改訂ではBFRBにおける強迫性が重視され,DSM-IVでは衝動制御障害に分類されていた抜毛症(hair-pulling disorder, trichotillomania)が「強迫症および関連症群(obsessive-compulsive and related disorders: 以下OCRDs)」へ再分類された。また,新たに病名として採用された皮膚むしり症(skin-picking disorder, excoriation disorder)と身体集中反復行動症(body-focused repetitive behavior disorder)もOCRDsに分類された。BFRBをOCRDsに含めた今回の改編は,皮膚科と精神科の臨床的接点を検討する精神皮膚科学(psychosomatic dermatology, psychodermatology)の重要性を示す。

本稿ではBFRBの観点から,抜毛症,皮膚むしり症,皮膚の掻破行動とアトピー性皮膚炎の関連について検討した。また,抜毛とアトピー性皮膚炎を有する自験例の精神医学的特徴を検討し,児童精神科での治療,皮膚科との連携について考察した。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top