2019 年 21 巻 3 号 p. 127-130
他領域が内視鏡技術を導入し低侵襲化を図ってきたのに対して, 心臓手術は困難さゆえにその導入が遅れていた. しかし, 手術支援ロボットda Vinci surgical systemの出現は心臓外科領域における完全内視鏡手術を実現した. 特に僧帽弁閉鎖不全症に対するロボット支援下僧帽弁形成術は極めて有効な術式であり, 胸骨正中切開を回避した生理的な角度からの高解像度立体画像や鉗子の自由度は複雑な弁形成を容易にし, 整容性に優れているだけでなく, 合併症や輸血率を軽減し, 早期退院・社会復帰を可能にするものとなった. 2018年4月には新たに胸腔鏡下弁形成術としてロボット手術が保険収載されている. 今後は各施設において術式の安全な導入が重要であり, 「ロボット心臓手術関連学会協議会」 を通した教育システムやトレーニングシステムの拡充が不可欠となる. da Vinciの出現は心臓外科領域では今まで不可能であった完全内視鏡下心内手術を実現するものであり, 今後のさらなる発展が期待される.