臨床化学
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血糖測定用o-Toluidine-ホー酸 (o-TB) 試薬の氷酢酸含量と発色反応
佐々木 禎一松井 早苗
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1972 年 1 巻 3 号 p. 346-353

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抄録
広く用いられている血糖測定用のo-TB試薬中の氷酢酸, H2O含量を変え, その時の呈色反応の様相を解析した成績を基にして改良o-TB 試薬を調製し, 次の諸成績を収めた。
(1) 高H2O含有 (35%) o-TB試薬を用い 15分加熱反応することにより反応発色後の呈色の安定化ができた。しかし発色が Plateauに達しない時 (7分) に加熱を中止すると呈色は不安定であった。
(2) この改良試薬を用いて直接法で測定すると, 蛋白質に起因する混濁を生じ高目の血糖測定値が得られた。
(3) しかしin vitroでAlbumin, γ-Globulin を添加しても混濁を生じなかった。
(4) 試薬中に, 或いは反応後にDetergent その他の各種試薬を添加しても混濁を防止できなかった。
(5) o-TB試薬中の氷酢酸, H2O含量を75, 10% (o-Tは15%) にし, 15分加熱後流水中冷却させると呈色度は若干低目であるが, 呈色が安定化し, 同時に混濁を防止することができた。
(6) 検量線は直線性を示し, 測定精度は充分満足すべきものであった。
(7) 従来のo=TB試薬による血糖測定値とは広い濃度範囲にわたってほぼ完全に合致した成績を示した。
(8) この改良o-TB試薬は従来の試薬の欠点の一つを解決したものとして血糖検査には適切な方法であると思われる。
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