臨床化学
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最近5年間におけるリソソーム病の出生前診断
長田 みずほ桜庭 均加瀬 良一亀井 幸子田中 あけみ宮川 智幸鈴木 義之
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1994 年 23 巻 3 号 p. 221-227

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抄録
羊水, 培養羊水細胞, 絨毛ならびに培養絨毛細胞を試料として当該リソソーム酵素活性を測定し, 最近5年間に18例のリソソーム病の出生前診断を行った。今回行った出生前診断の対象疾患は, Tay-Sachs病8例, Krabbe病4例, l-cell病2例とNiemann-Pick病 (A型), 異染性脳白質ジストロフィー, Pompe病ならびにGaucher病が各1であり, このうちTay-Sachs病2例とKrabbe病1例が, 当該酵素活性の低下により, 患者と診断された。以前に出生した患児の遺伝子変異が同定されていたTay-Sachs病の1例では, アレル特異的オリゴヌクレオチドプロー ブを用いた遺伝子診断が併せて行われ, 対象の胎児は, 患者と判定された。この胎児は人工妊娠中絶されたが, 中絶後の胎児肝中のβ-hexosaminidase A活性は低く, 胎児診断が正しかったことが確認された。
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© 日本臨床化学会
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