臨床化学
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日本人の血清生化学データと体格指数BMIに及ぼすTNF-α とβ3アドレナリン受容体遺伝子多型の相互効果
島 幸夫太田 英彦
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1998 年 27 巻 4 号 p. 232-238

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抄録
TNF-α遺伝子多型 (-308位のG-A) やβ3アドレナリン受容体遺伝子多型 (W64R) の, 肥満やインスリン抵抗性に対する関与が, いくつかの報告により示唆されている。我々はTNF-α多型が及ぼす日本人の血清生化学データや体格指数BMlへの影響と, 更にβ3アドレナリン受容体遺伝子多型との相互効果について調べた。TNF-α遺伝子多型は日本人における頻度が低く, 2グループ間で血清生化学データやBMIに明瞭な有意差は認められなかった。一方, β3アドレナリン受容体W64R変異をホモに有する人のBMI, 空腹時血糖値, 血清ガンマーグルタミルトランスペプチダーゼ, ロイシンアミノペプチダーゼ活性は, 変異のない人に比べて有意に高値を示した (Shima Y, et al. 1998)。しかしTNF-αとβ3アドレナリン受容体遺伝子多型の間に明瞭な相互効果は認められなかった。従って, さらに多くの検体による解析や, TNF-αの-308位以外の位置における多型の影響について検討する必要があると考えられた。
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© 日本臨床化学会
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