臨床化学
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ラットのALT, ASTおよびALPの基準範囲設定において考慮すべき影響要因
平田 真理子野村 護山田 雅之
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キーワード: ラット, ALT, AST, ALP, 基準範囲
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2001 年 30 巻 3 号 p. 142-152

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抄録

施設間データの互換性ならびに基準範囲の共有化を目的として, 9施設より提供された無処置あるいは非臨床毒性試験で陰性対照として使用された約5,000匹のラットデータを用いて, アラニンアミノトランスフェラーゼ (ALT), アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) およびアルカリホスファターゼ (ALP) 活性に影響を及ぼす種々の要因について解析を行った。ALTおよびASTには週齢および測定原理の違いによる影響が認められた。週齢については, 可能な限り多くの雌雄データを集積することにより, その影響を小さくできると考えられ, 測定原理別にデータを収集するかあるいは測定方法の標準化を図ることで, 共通の基準範囲作成が可能と考えられた。AST値には血清と血漿の違いによって大きな差が認められたが, 分離までの放置時間や保存方法による影響を受けないようにするため, ヘパリン処理後速やかに分離した血漿試料を用いる必要があると考えられた。ALPは週齢, 性, 摂餌および測定原理の違いによる影響が大きく, 少なくともこれらの要因別にデータを分類する必要があると考えられた。ラットのALP測定法にはN-methyl-D-glucamine (MEG) 緩衝液を用いることが期待される。

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