日本救命医療学会雑誌
Online ISSN : 2758-1055
Print ISSN : 1882-0581
症例報告
月経関連Toxic shock syndromeに対して, ポリミキシンB 固定化カラム直接血流灌流(PMX-DHP)を施行した1例
金村 剛宗池田 寿昭小谷 穣治庄子 諒一松永 恭輔佐野 秀史弦切 純也
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2025 年 39 巻 p. 22-26

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抄録
 40歳女性. 上半身発疹が見られ, アナフィラキシーで前医入院となるも, 翌日, ショックとなった. 月経中でタンポン使用歴がありToxic shock syndrome (TSS) 疑いで当院転院となった. 抗菌薬 (メロペネム, バンコマイシン, クリンダマイシン) を投与し, ショックに対して大量輸液, ノルアドレナリン, ヒドロコルチゾン, ピトレシン投与するも, ショックは遷延した. ショック離脱目的にポリミキシンpolymyxin B-immobilized fiber column-direct hemoperfusion (PMX-DHP) を実施後, 血圧は上昇した. 膣培養でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出された.
 本症例を通じて,PMX-DHPがTSSにおけるショックの早期離脱に寄与し得る可能性が示唆された.PMX-DHPは主にエンドトキシン除去が目的であるが,抗菌薬効果がただちに発揮しにくいTSSの重症例では,炎症性サイトカイン抑制を介して有効に作用する可能性が考えられる.
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