抄録
救急・集中治療現場の最前線で, 読者の多くは日常的に重症患者を診療し, 過大な侵襲がヒトに加わった時, どのような生体反応が起き, どのような転帰をたどるのか肌感覚で理解していることだろう. このように, 自らの診療経験に裏打ちされた深く正確な病態理解があり, さらに臨床現場のneedsは何かを把握している事が, 医師研究者 (physician-scientist) の強みである. たとえば実際の敗血症患者の診療経験があれば, 敗血症モデルマウス等から得られたデータの解釈に深みが出る. さらに研究成果を臨床現場にどのように還元していくべきか, 現実に即した提案ができる. 臨床現場で出会う「?」 (research question) を「!」 (新知見) につなげるには, physician-scientistが持つ, このような強みを生かす必要がある.
「?」を「!」につなげる確率を最大化するために, 「自らの可能性を最大化する場にタイムリーに身を置く」ことが重要である. 良い研究をするには実験結果を絶えずdiscussionし, 切磋琢磨できる仲間が必要である. また, 研究を行うには, それにふさわしい研究設備や研究費が必要である. あなたの職場にはこれらヒト, モノ, カネのリソースがあり, あなたの可能性を最大化してくれる「装置」になっているだろうか?
また, 研究成果は論文として発表しなければならない. 論文を掲載し続けるには, 多くの時間と労力を研究活動に注ぎ込む必要がある. そのためには「研究を習慣化」し, 研究活動に付随する誘惑, 不安, 恐れに打ち克つ「精神的頑健性」を身につける必要がある. そのためには「努力の源泉」が必要である. 「努力の源泉」は, 「あなたはなぜ研究するのか?」という問いの答えに該当する.
本稿では筆者の経験をふまえ, 救急・集中治療の臨床現場で出会う「?」を「!」につなげるヒントを提供する.