2020 年 1 巻 J1 号 p. 270-277
パターン認識はデータから一定の特徴や規則を抽出する処理であり,深層学習などの機械学習手法によって高度に達成されているタスクである.深層学習によるパターン認識の本質は,適切な特徴空間の中で表現されるデータ分布を大規模かつ高精度に学習・内挿することにあると一般に考えられているが,データの得られていない領域における外挿能力や,我々の持つ事前知識や直観に反しない計算過程を同様の枠組みによって実現できるかどうかは今だ解決していない問題である.本稿では,データの背後にある法則を発見することによって自然な計算プロセスを構築し,外挿や予測に用いようとするデータ駆動モデルに関する,現在の研究動向と今後の発展性を論じる.