2020 年 1 巻 J1 号 p. 278-285
下水道は,「浸水防除」,「公衆衛生の向上」,「公共用水域の水質保全」を大きな目的として事業展開されてきた.近年は,これらの目的に加えて,下水が有する資源にも関心が高まり,リン回収やメタン発酵を通じたエネルギー回収が試みられている.一方で,施設の老朽化が顕在化しつつあるものの,財政事情や人口減少状況より,施設更新が困難であることから,既存施設のストックマネジメントを適切に行うことも希求されている.これらの目的を達成しつつ,より付加価値のある適切な運転管理を行うためには,それに必要な情報を収集するとともに,活用する手法が必要となる.本研究では,下水道が有する種々の情報の可能性について考察するとともに,情報活用例として日々取得されている運転管理データを用いた機械学習による処理水予測を行い,情報拠点としての下水道の在り方について考察した.