2020 年 1 巻 J1 号 p. 406-413
近年,東北地方太平洋沖地震や平成28年熊本地震などの大規模地震が発生している.地震動によって多くの橋梁が被災し,人命救助や物資輸送の妨げとなっている.本研究の対象地域とした横浜市では,橋梁の耐震補強が進んでおり,重要な橋梁については 99%対策済みとなっている.しかし定期点検によると各橋梁の損傷程度にはばらつきがあり,健全な橋梁と比較して既損傷が生じている橋梁については地震によって被災するリスクが高い可能性がある.そこで本研究では,定期点検データを用いて地震によって損傷の受けやすい部材である支承部の既損傷の劣化予測を統計的に行った.また今後想定しうる地震動と地震時に損傷を受けやすい既損傷の程度により被災リスクの評価を行った.