2020 年 1 巻 J1 号 p. 429-436
河川堤防の高水時破堤メカニズムの一つに,パイピング破壊がある.この破壊形態は,破堤直前まで破堤の切迫度がわからないことが堤防管理上の大きな問題である.本論文は,堤体や堤体直下の基礎地盤内にパイプが形成されると,堤体法面表面に特有の形状をもつ凹部が形成されることを利用し,堤体表面形状の情報からパイピング進展度を評価する方法を模型実験により構築し,それをパイピングが発生した堤防に適用した結果を述べたものである.堤体内部や基礎地盤の詳細な材料や構造の情報が無い現状で,この方法はパイピング位置をほぼ正確に評価できる方法であることが実験によって明らかとなった一方,実際の堤防に適用する際には,正確な堤体表面形状を計測することが必要であり,植生の影響を如何に除去するかが課題であることも分かった.