2020 年 1 巻 J1 号 p. 437-444
近年,異常気象による予測不可能な斜面崩壊が増加している.道路管理者には利用者の安全を確保するために斜面崩壊の迅速な検知が求められている.斜面の異常を検知する新しい監視システムとしてSDARアルゴリズムを用いたChange Finder1)による変化点検知手法が提案されているが,検知精度に関する課題が残されている.本研究では, 衛星を用いた測位システムであるRTK-GNSSデータに含まれるマルチパスによる誤差,および偶然誤差を事前処理することによって検知精度の向上を試みた.具体的には,マルチパスによる誤差の処理として恒星日差分法を,偶然誤差の処理としてローパスフィルタを適用し,両者を併用することによりChage Finderによる検知の可能性が向上することを確認できた.