2021 年 2 巻 J2 号 p. 700-711
本研究は,著者らが提案している,敵対的生成ネットワーク(GAN)を利用したレーダ画像からのコンクリート内部ひび割れの推定・可視化手法において,効率的にデータを取得可能なシミュレーションの有効利用に向けた基礎的な検討を行ったものである.具体的には,GANの応用技術の一種であるpix2pixを用いて,実験レーダ画像から疑似シミュレーションレーダ画像に変換するモデルを追加することで,実験結果とシミュレーション結果に一部乖離があったとしても,シミュレーションデータを学習データとして利用可能な手法を提案した.検証の結果,提案手法は,実験データのみを用いる従来手法と比較して,反射波が小さくなる欠陥が薄いケースで推定精度が向上すること等が分かった.