2021 年 2 巻 J2 号 p. 771-776
鋼構造物の維持管理において,塗装の劣化や異常さびが確認された場合には腐食原因を排除することが望ましいが,原因の排除が難しい場合には,塗替え塗装や補修塗装が行われる.鋼構造物の塗替えや補修時の塗膜の寿命をより長くするためには素地調整が重要である.補修塗装現場では,ブラスト工法による素地調整程度 1種を原則とした下地処理が実施され,鋼板面の適切な除錆度の判定が必要である.しかしながら,除錆度を目視で判定することは難しく,定量的な判定を支援するシステムの開発が求まられている.そこで本研究では,腐食した耐候性鋼材(さび度 D)の素地調整時の除錆度の程度を,深層学習を用いて判定が可能か検討を試みた.検討の結果,提案する除錆度の判定を支援するシステムは,実務での使用の可能性を示すことができた.