2021 年 2 巻 J2 号 p. 902-909
近年,我が国で頻発する大規模災害において,特に高齢者をはじめとした避難行動要支援者の人的被害が著しい.水害は災害の進行速度が比較的緩やかであるため,被害が拡大する前の早期避難が実現すれば人的被害を大幅に軽減することが可能である.一方で,指定されている避難所に浸水が見られるといった課題も挙げられている.被害軽減には,浸水リスクのある避難場所を詳細に把握することは重要である.そこで本分析では,石川県小松市梯川における複数の想定破堤点から氾濫した際のケーススタディとして,破堤からの時間経過を追った避難所の安全性に関する検討を行った.その結果,石川県小松市を流れる梯川の任意の破堤点から破堤した際に,32箇所存在する避難所のうち15箇所浸水が至ること,内8箇所に1mを超える浸水が至ることを明らかにした.