2021 年 2 巻 J2 号 p. 893-901
本研究は,平成30年7月豪雨と令和2年7月豪雨を気象事例とし,Long Short-Term Memoryを用いて鹿児島市の1時間後の降水量予測を行った.本モデルを訓練する際,クラスター分析の結果に基づいて,学習データである気象庁の地上気象観測値を選定し,集中豪雨イベントの再現に対するこの有効性を検討した.その結果,学習データの選定は,集中豪雨の時間変動とピーク雨量の再現に有効であった.また,学習データに使用する観測点が増えすぎると,降水ピークの過小評価につながることも示された.本モデルの予測精度は,上記二つの豪雨事例において,気象庁メソ数値予報モデルと領域大気モデルの予測精度を上回ったものの,降水予測が 1時間遅れる傾向にあり,これは使用データの選定のみでは解決しなかった.