2022 年 3 巻 J2 号 p. 255-267
災害発生後の広域にわたる被害状況を迅速に把握することを目的とし,熊本地震直後に取得された WorldView-3衛星画像を用いて目視判読により建物被害を3区分し,ブルーシート被覆の有無を判読した教師データを26,938枚作成した.次に,衛星画像を128pixel四方に分割したパッチ画像37,121枚を用いて,衛星画像の北側8割の領域から取得したパッチを学習用データ,南側2割の領域から取得したパッチをテスト用データに分割した.続いて,深層学習を用いたセマンテックセグメンテーション手法であるU-Netを用いて建物形状を自動抽出し,被害区分,ブルーシート有無を自動判別するプログラムを開発した.学習用データを用いて構築したモデルをテスト用データにより評価した結果,建物のIoUは約64%,被害3区分のF値の平均は約74%,ブルーシート被覆についてはF値は約 89%となり,被害状況把握に活用可能な程度の被害抽出性能を確認した.