2022 年 3 巻 J2 号 p. 287-292
異常さびを生じた耐候性鋼橋梁の除錆度の判定は目視で行われていることから,定量的で容易に判断できる技術が求められる.著者らは,深層学習を用いた除錆度判定システムの構築を試みているが,システムの汎化性能を向上させるためには,学習に使用する教師画像を強化する必要がある.そこで本研究では,ノイズから多様な画像が生成できる敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いて,除錆度判定システムの教師画像を生成することを試み,生成された画像の客観評価から教師画像としての適用可能性を検討した.検討の結果,SSIM値を用いた生成画像と教師画像の類似度の評価からモード崩壊による教師画像の強化に不適切な画像を判別することが可能であることが確認された.また,GANにより生成した画像を用いて除錆度判定システムの汎化性能の向上を図る可能性が確認された.