３次元点群データからの鋼構造薄肉部材のシェル要素FEモデル構築

抄録

多くの鋼構造物は平板の接合で部材が構成され，その性能解析にはシェル要素など構造要素による有限要素(FE)モデルが多用される．本研究では，既存鋼構造物の性能評価に用いるFEモデル構築に向けて点群からのシェル要素FEモデル構築を目的とした．検証では平板を接合した隅角部材供試体を作製し，3Dスキャナで点群データを取得した．そして，k-means法によって各平板をセグメンテーションし，主成分分析で中立面を推定した．得られた中立面からFEモデルを構築し，設計諸元で作成したFEモデルと静的弾性解析の出力を比較して妥当性を検証した．その結果，点群データから構築したFEモデルで全体の応力分布が妥当に得られることを示した．一方，最大変位や隅角部で生じる最大応力には差異が生じ，寸法と局所的な形状部分のモデル化に検討が必要であると考察された．