2022 年 3 巻 J2 号 p. 916-924
近年,超音波非破壊検査の重要性は増しており,非接触で検査できるレーザー超音波検査と散乱波の可視化技術を組み合わせたレーザー超音波可視化試験(LUVT) の可能性に期待が集まっている.散乱波を可視化したとしても検査員が注意深く画像を検査する必要がある.これを自動化するため,本論文では,LUVTにおける欠陥検出と位置推定のための深層ニューラルネットワークを提案する.このタスクに適したニューラルネットワークの構造を検討するため,まず,本研究で対象とするLUVT画像解析問題と一般物体検出問題を比較した.その上で,一般物体検出のための最新モデルに装備されている各モジュールが本研究で対象とするLUVT画像解析問題において必要性を有するか吟味することで,ネットワークを構成しなおした.SUS304平板の実計測データを用いた計算機実験により,予測性能において,提案モデルは,一般物体検出モデルより,有用性の高い方法であることを実証する.また,予測にかかる計算時間も一般物体検出モデルより高速であることも示す.