2022 年 3 巻 J2 号 p. 970-976
慢性疾患患者などの医薬品使用者は,医薬品を使用できない場合には病態が悪化することが多い.特に,大規模地震災害発生時は,かかりつけの病院が被災することに加え,地域の医薬品ニーズが増加することから,慢性的な医薬品使用者の病態悪化の可能が高くなる.そこで,本研究では,災害時における慢性的な医薬品使用者に対して,ニーズに応じた医薬品支援を行うことを目的とした.石川県羽咋市を対象に,地域の医薬品処方状況を把握し,地震災害時における医薬品使用者の避難を想定することで,災害時にどこでどのような医薬品ニーズが存在するかを把握した.その結果,羽咋市内における慢性的に使用されている医薬品としては,血圧降下剤や高脂血症用剤の医薬品使用者が多く,地震災害時の避難を想定した際にも,各避難所にて高い需要が見込まれることが得られた.