2023 年 4 巻 3 号 p. 656-669
業務その他部門(事務所,商業施設などの建物)のCO2排出量は,我が国全体の約2割を占め,その削減が喫緊の課題である.本研究では,太陽光発電設備が設置された業務用建物を対象に,エネルギー管理の効率化に向けて,電力需要量と太陽光発電量を予測するモデルを構築した.モデルは,説明変数に,気象(気温,日射量など),人流,周期データ(24時間周期,平日休日区分など),太陽位置(方位角など)などを使用し,深層学習の一つであるLSTMを用いた.将来34時間先の電力需要量と太陽光発電量を,実績値との相関係数0.85以上で予測した.予測結果を用いたシミュレーションでは,電力量料金の年間15%以上の削減を確認し,蓄電池の有効活用から電力需要の平準化,災害対応への有効活用が可能であることを示した.