2023 年 4 巻 3 号 p. 841-851
消費行動は生活必需品の補充,食料品の買い出し,きまぐれな買い物など,その特性が多岐にわたる.また,購買情報は店舗単位で分析・活用されるため,学術研究で利用することは困難だとされてきた.しかし,近年ビッグデータの活用が注目を集める中で,購買情報についても分析に優れた包括的なデータが整うようになった.本研究では,地域間移動における消費行動の特徴付けを目的に,購買ビッグデータを活用したクラスタリング手法を提案する.本手法は地域間移動の分散表現を構築し,購入金額の分布が直感的に示した分析手法である.この分散表現により,消費行動の購入金額分布が把握可能になる.金沢市内の消費行動に本分析を適用した結果,特性を表すクラスタが作成され,市内の消費動向把握に有益な空間情報を得られることが示された.