2023 年 4 巻 3 号 p. 962-968
環境試料中の化学物質のスクリーニングにおいて近年主流となっているノンターゲット分析では,測定結果のデータの解釈が重要である.著者らは簡易的な環境試料のスクリーニングとして,三次元蛍光スペクトルの画像データを機械学習により判別する手法を提案した.意図的に農薬添加・非添加の差をつけた河川水試料の三次元蛍光スペクトル画像データを用いてAIによる識別の可否を検討した.加えて,教師データとしての画像データの質的,量的な最適性について検討した.その結果,本法を簡易スクリーニングとして活用できる可能性が示された他,現状では三次元蛍光スペクトルを精密に計測することによって情報量を増加させても,必ずしもAIによる判定精度を向上させることにはならないことが示された.