2024 年 5 巻 3 号 p. 209-219
本研究では,既往の研究と比較して腐食検出精度の向上を図ることを検討するため,CNN における一般的なデータ拡充手法の 1 つである 90 度回転や左右反転といった画像の幾何変化ではなく,画像の輝度変化に着目した.これにより,腐食の特徴を明瞭にできると考え,福島県の道路橋点検結果における状況写真をトレーニングデータとして,90 度回転と左右反転に加え,コントラスト低減および強調,ヒストグラム平坦化による前処理を実施し,これら前処理の有無に伴う腐食検出精度を調べた.その結果,コントラスト低減を施したトレーニングデータを学習したモデルを構築することにより,腐食クラスの分類精度を最大限に高めることができることが判明した.