2024 年 5 巻 3 号 p. 61-70
橋梁の定期点検では,構造上の部位区分あるいは部位毎,損傷種類毎に,対策区分の判定を行う.対策区分の判定は,各損傷に対して次回定期点検までの維持・補修等の計画を検討するうえで特に参考とされる最も基礎的な評価であるため,統一的な評価基準で行われることが重要である.しかし,対策区分は定性的なものとなっており,対策区分判定要領においても,各損傷の特徴や留意点等のみが示されているため,橋梁診断員によって,判定のばらつきが発生しやすい.そこで,本稿では,橋梁診断員の減少が予想される地方自治体が対策区分の判定を適切に行うための支援を目的として,橋長10m以下の溝橋に発生するひびわれおよび剥離・鉄筋露出を対象に,対策区分の判定のアルゴリズムを提案し,精度検証した結果について報告する.