2024 年 5 巻 3 号 p. 71-76
近年,技術伝承ツールにAIが期待されている.山岳分野の岩石判定では,Convolutional Neural Networkによる興味深い成果が多く報告されている.岩石をAIに鑑定させる研究なども進められている.一方で,日本ではベンダー依存型であるため,AI技術者に依存するケースが目立ち,AIのアルゴリズムのみならず,AIの解析処理もブラックボックス化しているのが現状である.例えば,データ拡張による計算コストの削減などの議論は少ない.そこで本研究では,学習用データの画像枚数とAI性能の関係を調べるため,学習用データの画像枚数が異なる8パターンのCNNモデルを作成し,比較検証を行った.その結果,1岩種あたり約500枚の画像を使用した場合に,最も高い性能を発揮することが分かった.また,データ拡張による画像生成が過剰適応を引き起こす可能性のあることが示唆された.