2024 年 5 巻 3 号 p. 747-756
ため池などの水利施設は,我々の生活に欠かせない.ため池の堤体が部分崩壊や水漏れなどした場合,ため池全体が決壊する可能性があり,早期の発見,対応が求められる.しかし,ため池の維持,管理,点検は大きな社会課題となっている.そこで,本研究では,ため池点検の効率化を目指して,ため池堤体の部分崩壊に焦点をあてる.本研究の目的は,空撮画像を用いたため池堤体の部分崩壊を対象とする異常の自動検出手法の構築である.そのため,教師なし学習のオートエンコーダを用いてため池堤体の部分崩壊を自動で検出する手法を提案する.また,異常箇所の位置と大きさを定量的に示す手法を提案する.実際のため池環境でUAVを用いた実機実験によって提案手法の有効性が示されている.